カンボジア プノンペンで蔓延する麻疹(はしか)について - サンインターナショナルクリニック|カンボジアの日系病院

カンボジア プノンペンで蔓延する麻疹(はしか)について

台湾人旅行客が日本で麻疹を発症し、4月末までに11人が罹患したとのニュースがGWの日本を震撼させました。この他、インドネシア、マカオ、タイに行った旅行者からも感染例が報告されています。4年前にはフィリピン、ラオス、ベトナムで集団感染事例がありました。麻疹は非常に伝染しやすく、重症化します。ワクチン接種が広く実施される1963年以前には定期的に集団感染を起こし、毎年推定260万人もの人々が麻疹が原因で死亡していました。現在でも麻疹に対する特異的な治療法はなく、症状に応じた対処療法しかありません。

ー麻疹の感染経路と感染力ー

麻疹は麻疹ウイルスによって起こる感染症で、人から人へ感染します。感染経路は飛沫感染、接触感染など様々です。

感染力は極めて強く、麻疹の免疫がない100人の集団に1人の発症者がいたとすると、12〜14人の人が感染するとされています。ちなみに、インフルエンザでは1〜2人と言われています。不顕性感染(感染はしても発症はしない、つまり症状がでない)は殆どなく、感染した人の90%以上の人が発症します。発症した人が周囲に感染させる期間は、発疹が出現する3〜5日前から発症後4〜5日目くらいまでで、感染力が最も強いのは発症直直前です。

 

ー麻疹の症状ー

●潜伏期間;感染後、10〜12日間。発熱や咳などの症状が現れます。

 ●カタル期;2〜3日。38℃前後の発熱や倦怠感、風邪症状に加え、結膜炎症状(充血、目やに、腫れ、痒み)などが現れます。

●コプリック斑期;口の中に小さな白い斑点(コプリック斑)が現れます。

 ●発疹期;コプリック斑は消失し、口腔内が赤くただれてきます。体温は一度下がりますが、再び39℃以上の高熱となり、耳、首、顎から出始め、翌日には顔、上半身から体中に発症が現れます。発疹が全身に広がるまで高熱が続きます。

 ●回復期;発疹は3〜4日間続いた後徐々に消えていき、同時に解熱します。合併症がなければ7〜10日後には症状は軽快しますが、体力の回復には約1ヶ月程度を要します。

 

ー麻疹の予防ー

 ●予防接種

・1回のワクチン接種により麻疹の免疫ができる確率は約95%です。より確実に免疫をつけるために、2006年6月から麻疹、風疹の混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種が推奨されています。免疫獲得に要する時間は予防接種後約2周間です。

 

 ●麻疹患者と接触した場合の対処

麻疹患者と接触した場合は、接触後72時間以内に予防接種を受ける、または免疫グロブリン療法を受けることで麻疹発症を防ぐことができる可能性があります。

 

ーおわりにー

実際にカンボジアを含めた東南アジアのような予防接種率の低い地域では集団感染例が報告されています。これまでに麻疹に罹患したことがある人や、麻疹の予防接種を2回受けている人(麻疹、流行性耳下腺炎、風疹予防の三種混合ワクチン(MMR)、あるいは麻疹、風疹予防の二種混合ワクチン(MR)として接種されることが多い)は免疫を持っています。しかし、平成2年4月2日以前に生まれた方は1回しか定期ワクチン接種を受けていない場合が多いため、2回目の予防接種を推奨します。

麻疹に対する抗体の有無は血液検査で確認することができます。麻疹は極めて伝染性の強いウイルス性疾病ですが、予防接種を受けることで感染を回避できます。

日本とは異なる衛生下で自身とその家族の命を守っていく為にもこうした予防対策を行って行くことが重要です。予防接種やその他健康に対するご質問はどうぞお気軽にご連絡ください。

 

カンボジア プノンペンフリーペーパー「プノンペンプレスネオ」に掲載していただきました。